水うちわに貼ってあるのは、雁皮紙と呼ばれる、本物の「美濃手漉き和紙」です。
雁皮紙とは、雁皮と呼ばれる植物の皮を使って漉く和紙です。
古代では斐紙や肥紙と呼ばれ、その美しさと風格から、「紙の王」と評される事もあります。
繊維は細く短かいので、緻密で緊密な紙となります。
強く均質で透明感があり、水うちわに最適な和紙です。
雁皮紙を漉くには、高度な技術と、多大な手間が必要です。
本当に品質の高い雁皮紙を作るとなれば、原料から綺麗にする必要があります。
漂白剤を利用し、原料中のゴミまで白くしてしまえば簡単なことですし、
実際そのように作られた和紙が、この世に多くあることは事実です。
しかし、手漉き和紙製作ユニットCorsoyard(コルソヤード)の仕事に、ごまかしは一切ありません。
彼らは雁皮の繊維についた塵を、冷水の中、妥協無く手で一つずつ丁寧に取り除き、
長時間をかけて、原料の下準備を行います。
こうして、再現不可能と考えられていた水うちわに最適の薄くて強い雁皮紙が完成し、
本物の水うちわが現代に蘇ったのです。